決定に納得がいかないときの対応方法(審査請求等)

第5章 決定に納得がいかないときの対応方法

目次

どのような対応方法があるか

 「障害年金を請求したが、支給されなかった。」「障害年金を受けていたが、障害等級が下がって、年金額が下がってしまった。」このような決定がされた場合で、納得ができない場合もあろうかと思います。
決定部署に文句を言っても決定は変わりませんが、別の目で再度決定の見直しをしてもらうことが可能です。

決定に不服がある場合の流れ

  1. 審査請求
  2. 再審査請求
  3. 訴訟(地裁・高裁・最高裁)

①の審査請求で決定が覆ることは少ないのですが、②の審査請求の方が決定の覆る確率が上がります。
審査請求は厚生労働省職員が行うため、いわば内部の人間の再確認となるわけですが、審査会は外部の方が入って審査をするため、厚生労働省・日本年金機構の内部ルールにとらわれることなく判断されることが大きな要因です。
審査会は審査会の考え方があり、厚生労働省側と考え方が異なる点も多く、「付言」等の形により指摘を行う裁決も見受けられます。

【例1】

「初診日が不明で却下」→「初診日は本人の申し立てのみであり、申し立ての初診は採用しない」

本人が申し立てた初診日を示す医師の証明等がなかったため、却下処分となりました。審査会は、本人が申し立てた初診日を示す証明等がないのだから初診日としては採用しないとし、医師の証明があった別の受診日を初診日として取り扱うのが相当とし、障害年金が支給されました。

【例2】

「初診日に関して、第三者証明は不採用等で却下」→「第三者証明は有力な証明書類である(容認)」

厚生労働省は初診日に関する第三者証明を20歳前障害に限って採用しています。このケースは20歳以後の初診のケースですが、審査会は第三者証明を有力な証明書類として採用し、障害年金が支給されました。


審査請求などの流れ

具体的な対応方法

審査請求

年金機構HP

年金の決定に不服があるときは、決定があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内に文書または口頭で、地方厚生局内に設置された社会保険審査官に審査請求することができます。

次の内容については社会保険審査官が行う審査の対象とはなりません。

・保険者の対応(説明誤り、説明不足を含む)に対する不服

・保険者の不作為によるもの

・物価スライド特例水準に対する不服

・障害給付に係る次回の診断書の提出について(お知らせ)における診断書の提出年月に関すること

・障害給付に係る診断書の記載内容に対する不服

・障害給付に係る現況届による等級変更がないことに対する不服
 (等級変更のないことの確認であり、処分ではないためです。額改定請求は可能であり、その処分に対しては審査請求ができます。

 

 審査請求を行うと、原則として次のいずれかの決定がされます。

決定内容意味
容認請求者の主張を認める場合
棄却請求者の主張を認めない場合
却下審査請求が無効である場合 (例:請求する資格がない、請求できる期間を過ぎている場合等)

 決定が明らかに誤っている場合等は、行政側から処分変更がされることもあります。

社会保険審査官 所在地等一覧

生(支)局名管轄区域郵便番号所在地電話番号
北海道厚生局北海道060-0808札幌市北区北8条西2-1-1
札幌第1合同庁舎8階
011-709-2311
東北厚生局青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県980-8426仙台市青葉区花京院1-1-20
花京院スクエア21階
022-208-5331
関東信越厚生局茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、
東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県
330-9713さいたま市中央区新都心1-1
さいたま新都心合同庁舎1号館5階
048-851-1030
0570-03-1865
東海北陸厚生局富山県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県460-0001名古屋市中区三の丸2-2-1
名古屋合同庁舎第1号館6階
052-228-6159
0570-666-445
近畿厚生局福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県540-0011大阪市中央区農人橋1-1-22
大江ビル8階
06-7711-8001
中国四国厚生局鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県730-0017広島市中区鉄砲町7-18
東芝フコク生命ビル2階
082-223-0070
四国厚生支局徳島県、香川県、愛媛県、高知県760-0019高松市サンポート2-1
高松シンボルタワー10階
087-851-9564
九州厚生局福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県812-0011福岡市博多区博多駅前3-2-8
住友生命博多ビル4階
092-707-1135

再審査請求

審査請求の決定に対してさらに不服があるときは、決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月以内に社会保険審査会(厚生労働省内)に再審査請求できます。

社会保険審査会は、健康保険、船員保険、厚生年金保険及び国民年金の給付等処分に関して、第2審として行政不服審査を行う国の機関です。審理は、公正、公平を期するため公開が原則とされていて、公開審理が行われ請求人も意見を述べることができます。ただし公開審理は東京の厚生労働省でしか行われないため、遠方の場合出席して意見を述べることが難しい場合もありますが、欠席しても直ちに不利になるというわけではありません。

審理の結果は、審査請求と同様に、容認、棄却、却下のいずれかの決定が行われます。

訴訟

審査請求の決定に対してさらに不服があるときは、訴訟を行うことになります。

なお、決定の取消の訴え(行政事件訴訟等)を起こす場合は、原則として、再審査請求の裁決を経た後でないと提起できません。


目次