相当因果関係とは

傷病名は異なっていても、前の傷病が進行して後の障害に至った場合、前の疾病又は負傷がなかったならば、後の疾病が起こらなかったであろうと認められる場合は、相当因果関係ありとされ、前後の傷病を同一傷病として取り扱われます。
ただし、通常、後の疾病には負傷は含まれません。

◆ 相当因果関係ありとして取り扱われることが多い例 

1. 糖尿病と糖尿病性網膜症又は糖尿病性腎症、糖尿病性壊疸(糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉鎖症)は、相当因果関係あり。

2. 糸球体腎炎(ネフローゼを含む)、多発性のう胞腎、慢性腎炎に罹患し、その後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係ありとして取り扱います。

3. 肝炎と肝硬変は、相当因果関係あり。

4. 結核の化学療法による副作用として聴力障害を生じた場合は、相当因果関係あり。

5. 手術等による輸血により肝炎を併発した場合は、相当因果関係あり。

6. ステロイドの投薬による副作用で大腿骨頭無腐性壊死が生じたことが明らかな場合には、相当因果関係あり。

7. 事故又は脳血管疾患による精神障害がある場合は、相当因果関係あり。

8. 肺疾患に罹患し手術を行い、その後、呼吸不全を生じたものは、肺手術と呼吸不全発生までの期間が長いものであっても、相当因果関係あり。

9. 転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係あり。

相当因果関係なしとして取り扱われることが多い例 

1. 高血圧と脳出血又は脳梗塞は、相当因果関係なし。

2. 近視と黄斑部変性、網膜剥離又は視神経萎縮は、相当因果関係なし。

3. 糖尿病と脳出血又は脳梗塞は、相当因果関係なし。

-補足説明-

医学的には、高血圧と脳出血は「因果関係」がありますが、障害認定基準における「相当因果関係」は、なしとされます。

発達障害や知的障害と精神疾患が併発する増合の一例

前発疾病後発疾病判定
発達障害うつ病同一疾病
発達障害神経症で精神病様態同一傷病
うつ病・統合失調症発達障害診断名の変更
知的障害(軽度)発達障害同一疾患
知的障害うつ病同一傷病
知的障害神経症で精神病様態別疾患
知的障害・発達障害統合失調症前発疾患の病態として出現している場合は同一疾患(確認が必要)
知的障害・発達障害その他精神疾患別疾患


知的障害は3級程度であった人が社会生活に適応できず、発達障害の症状が顕著になった場合などは「同一疾病」とするとされています。

知的障害を伴わない人や、3級不該当程度の知的障害がある人については、発達障害の症状により初めて診療を受けた日を初診とし、別疾病として扱うとされています。

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