特別障害給付金
しくみ
国民年金に任意加入していなかったために、障害基礎年金等が受けられない人が請求することができる、平成17年に施行された給付制度です。
請求月の翌月分からが支給対象となり、障害年金でいう認定日請求(遡及請求)を行うことはできません。
対象となる人
・平成3年3月以前に国民年金に任意加入していなかった学生(定時制、夜間部、通信は除かれます)
・昭和61年3月以前に国民年金に任意加入していなかった、厚生年金・共済組合の加入者等の配偶者
支給要件
国民年金に任意加入していなかった期間中に生じた傷病が原因で、現在障害基礎年金の1・2級の障害の状態にある人です。
ただし、次の場合には、特別障害給付金は支給されません。
1.日本国内に住所を有しないとき。
2.刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき。
支給額
1級該当者……約50,000円
2級該当者……約40,000円
※年金ではないため、主に月額表記されます
※2ヶ月に1回、偶数月に支払われます。年金とは違い、振込通知書がその都度送られます。
請求時期
65歳に達する日の前日までとなります。
手続き方法
住所地の市区町村の国民年金窓口、または年金事務所で請求を行います。
なお、審査・認定・支給に関する事務は、日本年金機構が行います。
所得制限
特別障害給付金には所得制限等があり、この所得制限は20歳未満障害基礎年金の所得制限が準用され、本人の所得により全額、または1/2の額が、支給停止となります。
支給調整
次の給付が支給されている場合は、その金額が調整され減額されます。
・老齢給付、遺族給付などの老齢、死亡を理由とする給付
・労災保険等による年金たる保険給付
老齢年金等を受給する場合は、「特別障害給付金支給調整事由該当届」が必要となるため、年金請求時にはもらっていることを申出しましょう
制度の作られた背景
この制度は、「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」(平成16年12月10日交付)に基づき支給される、福祉的措置としての給付金です。年金ではありません。平成3年3月までは、大学生等は国民年金に加入するかどうかは自由でした。
このため、20歳を超えた学生が予期しない事故や病気等で障害を負ってしまった場合は、初診日において年金制度に加入していないため、障害年金の対象とならなかったのです。(初診日が20歳前であれば20歳前障害の対象となります)
このため、学生期間に国民年金に任意加入しなかったために、障害無年金者となった方々が集団訴訟を行いました。学生障害者無年金訴訟とよばれるものです。
この訴訟の結果、全国各地の地裁で国側が敗訴したことを受けて、議員立法により法制化されました。財源は全額国庫負担となります。
まとめ
制度ができたときは、請求数は多かったものの、初診日が基本的に平成3年以前の障害が対象となるため、現在の請求はほとんどありません。
しかし、そのときの初診で状態が悪くなった場合は、今でも請求は障害基礎年金ではなく、特別障害給付金となります。
老齢年金をもらうと停止となることから、老齢年金請求時には「停止届」を提出する必要があります。
運用状況
日本年金機構のデータによると、
支給件数 8007件(令和7年1月時点) となっています。
令和6年4月時点では8148件のため、支給件数は減少していることがうかがえます。
死亡などによると思われます。


日本年金機構HPより
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