障害年金「額改定請求」の詳細解説

障害年金「額改定請求」を詳しく解説します

目次

額改定請求の要件

障害基礎年金又は障害厚生年金の受給権者は、障害の程度が重くなったことによる障害年金の額の改定請求を、障害年金の受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後に、厚生労働大臣へ請求することができます。

国民年金法
(障害の程度が変わつた場合の年金額の改定)
第三十四条 厚生労働大臣は、障害基礎年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、障害基礎年金の額を改定することができる。
2 障害基礎年金の受給権者は、厚生労働大臣に対し、障害の程度が増進したことによる障害基礎年金の額の改定を請求することができる。
3 前項の請求は、障害基礎年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害基礎年金の受給権を取得した日又は第一項の規定による厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して一年を経過した日後でなければ行うことができない。

厚生年金保険法であれば、第52条第2・3項

平成26年4月1日からは、厚生労働省令で定める特定の事例に該当(障害の程度が増進したことが明らかである場合)するものは、診査を受けた日から1年経過を待たずに請求することができるようになりました。
(上記国民年金法「厚生労働省令で定める場合を除き」)

障害年金の受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日

認定日請求であれば受給権発生日、事後重症請求であれば請求日(受給権発生日)です。

その後更新の診断書を提出して等級が変わる等した場合は、提出期限の属する月の初日、減額改定の場合は提出期限の翌日から起算して3月経過した日の属する前月の初日となります。

障害年金の額改定請求があったときは、額改定請求のあった日(額改定請求書の受付日)です。

障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するために支給停止が解除されたとき(支給
停止事由消滅届)は支給停止が解除された日(原則として当該届に添付された診断書の現症日)です。

年金事務所の原簿の「診査」の日付で確認ができます。


請求できる具体的な日付の例

例えば、診査日が「令和7年10月1日」とすると、「令和8年10月2日」から請求できることになります。

厚生労働省令で定める特定の事例

平成26年4月1日の法改正により、障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定められた特定の事例に該当する場合は、1年を待たずに請求することができます。

厚生労働省令で規定されている項目に限って請求することができます。

国民年金法施行規則
(法第三十四条第三項に規定する厚生労働省令で定める場合等)
第三十三条の二の二 法第三十四条第三項に規定する厚生労働省令で定める場合は、障害基礎年金の受給権を取得した日又は同条第一項の規定による厚生労働大臣の診査を受けた日のいずれか遅い日以後、次の各号に掲げるいずれかの状態に至つた場合(第八号に掲げる状態については、当該状態に係る障害の範囲が拡大した場合を含む。次項において同じ。)とする。

厚生年金保険法であれば、厚生年金保険法施行規則第47条の2の2

番号 障害の状態(眼) 請求時の
障害の等級
1 両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの 2級(3級)
2 一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの 2級(3級)
3 両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの 3級
4 一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの 3級
5 ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞ
れ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの 2級(3級)
6 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数
が20点以下のもの 2級(3級)
7 ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞ
れ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの 3級
8 ゴールドマン型視野計による測定の結果、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、
Ⅰ/2視標による両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの 3級
9 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数
が40点以下のもの 3級

対象一覧表(新法)

番号障害の状態(眼)請求時の障害の等級
1両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの2級/3級
2一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの 2級/3級
3両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの3級
4一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの3級
5ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの 2級/3級
6自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの 2級/3級
7ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの 3級
8ゴールドマン型視野計による測定の結果、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2視標による両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの 3級
9自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの 3級
番号障害の状態(聴覚・言語機能)請求時の障害の等級
10両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの2級/3級
11両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの3級
12喉頭を全て摘出したもの3級
番号障害の状態(肢体)請求時の障害の等級
13両上肢の全ての指を欠くもの2級/3級
14両下肢を足関節以上で欠くもの2級/3級
15両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの3級
16一上肢の全ての指を欠くもの3級
17両下肢の全ての指を欠くもの3級
18一下肢を足関節以上で欠くもの3級
19四肢または手指若しくは足指が完全麻痺したもの(脳血管障害または脊髄の器質的な障害によるものについては、当該状態が6月を超えて継続している場合に限る)
※完全麻痺の範囲が広がった場合も含む
2級/3級
番号障害の状態(内部) 請求時の障害の等級
20心臓を移植したものまたは人工心臓(補助人工心臓を含む)を装着したもの2級/3級
21心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器をいう)を装着したもの3級
22人工透析を行うもの(3月を超えて継続して行っている場合に限る)3級
番号障害の状態(その他)請求時の障害の等級
236月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、人工膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る)を使用しているもの3級
24人工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置を行ったもの(人工肛門を使用した状態および尿路の変更を行った状態が6月を超えて継続している場合に限る)3級
25人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態(留置カテ-テルの使用または自己導尿(カテーテルを用いて自ら排尿することをいう)を常に必要とする状態をいう)にあるもの(人工肛門を使用した状態および排尿の機能に障害を残す状態が6月を超えて継続している場合に限る)3級
26脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態をいう)または遷延性植物状態(意識障害により昏睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超えて継続している場合に限る)となったもの2級/3級
27人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る) 2級/3級


診断書作成時の注意事項があるため、注意が必要です

請求時の注意事項(1年未経過請求)

例:上記の表のNo22「人工透析を行うもの」で改定請求を行う場合、右欄の請求時の障害の等級に「3級」とあります。つまり、糖尿病による2級の方は、対象とならないため、注意が必要となります。
この場合、1年を経過してから請求することになります。

診断書について

額改定請求をするためには、診断書が必要となりますが、現症日の記載に注意が必要です。
額改定請求日前3か月以内の現症の診断書が必要となります。

例:額改定請求日が令和7年10月1日の場合 → 診断書現症日:令和7年7月1日~令和7年9月30日

国民年金法施行規則
(改定の請求)
第三十三条 法第三十四条第二項の規定による障害基礎年金の額の改定の請求は、次に掲げる事項を記載した請求書を機構に提出することによつて行わなければならない。
2 前項の請求書には、次に掲げる書類等を添えなければならない。
一 前項の規定により同項の請求書に基礎年金番号を記載する者にあつては、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
二 当該請求書を提出する日前三月以内に作成された次に掲げる書類

厚生年金保険法施行規則であれば、第47条

新規裁定請求時の額改定請求書提出

障害年金の遡及認定日請求に際して、請求日分の現症診断書により額改定請求を行うことができます。
これを提出しないと、請求日分の認定結果が認定日のものと同じであった場合、処分がされないことから審査請求等が行えなません。
このため、審査請求等を行う場合は額改定請求により処分をしてもらう必要があります。

額改定請求の効果

額改定請求により上位等級に該当した場合

請求日の属する月の翌月分から増額された年金を受給することができます。

新規裁定同時の額改定請求で上位等級に該当した場合

額改定請求による改定ではなく、職権による現症日等での改定が行われます。
この場合、額改定請求については不要となるため、「診査年月日から1年末経過」として却下処分となります。

障害状態確認届と額改定請求を併せて行い上位等級に該当した場合

額改定請求の受付日より障害状態確認届の増額改定日(誕生日の属する月の1日)が早い場合は、障害状態確認届として改定されます。

額改定請求の受付日が障害状態確認届の増額改定日より早い場合は、額改定請求として改定されます。

このため、額改定を狙う場合は、できるだけ早く障害状態確認届(額改定請求書)をだしたほうが、有利になります。

額改定請求により上位等級に該当しない場合

額改定請求日で診査年月日の更新が行われます。
有固年数の更新も行われます。

結果の通知

上位等級に該当した場合

「国民年金・厚生年金保険支給額変更通知書」が送付されます

障害の程度が上位等級に該当せず、額改定が行われない場合

「年金額を変更しない理由のお知らせ」(不該当処分)が送付されます

1年の経過を待たずに行われた請求で、省令に規定する状態に該当しない場合

「年金の年金額を変更しない理由のお知らせ」(却下処分)が送付されます。
なお、この場合診査年月日の更新は行われません。

その他注意点等

3級の場合は年金生活者支援給付金請求書をいっしょに提出する

3級の場合は年金生活者支援給付金がもらえませんが、2級以上なら対象となるため、忘れずにいっしょに提出します(※収入要件等あり)

65歳以上の額改定請求は注意

65歳以上、または老齢基礎年金の受給権者(繰上げ支給の老齢基礎年金受給権者を含む)の場合、過去に障害基礎年金の受給権が発生したことがなければ、額改定請求はできないため注意が必要です。

厚生年金保険障害年金(年金コード0330)等旧法の場合はOK

旧法3級の場合は、65歳を過ぎても額改定請求が可能です。

結婚した、子供が生まれた等の場合

受給権発生後に結婚したり、子供が生まれた等の場合は、「障害給付加算額・加給年金額加算開始事由該当届」(様式第229-1号)を提出します。
これにより、それぞれの加算がされます。

老齢基礎年金の繰上げ請求後は、原則額改定請求はできない

老齢基礎年金の繰上げ請求後は、障害等級3級の状態(過去に1級又は2級に該当したことがない)にある人の障害厚生年金に係る上位等級への額改定請求はできません。

なお、障害基礎年金の受給権発生後に老齢墓礎年金を繰上げ請求した場合については、額改定請求が可能です。


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